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建学の精神

 純心女子学園は、1935(昭和10)年に日本人初の司教早坂久之助によって創立されました。
 早坂司教はローマでの司教叙階の際に、布教聖省長官により日本において「教育と福祉」を勧められました。これを神の望みとして受けとめた早坂司教は、長崎の地で1934(昭和9)年に純心聖母会という修道会を創立し、翌年に純心女学院が始まりました。最初の会員であったシスター江角ヤスが共同創立者となっています。
 「純心」という校名は、「聖母マリアの汚れなきみ心」に奉献された修道会の精神からつけられています。聖母のように、神様にも人にも喜んでいただける女性を育てたいとの思いが込められています。
 1945(昭和20)年8月9日の原爆投下により校舎は全焼、多数の生徒・教職員が殉難するという苦難もありましたが、復興を遂げ、現在に至っています。この創立10年目の出来事が本学園の平和教育の礎となっており、祈りと活動が世代を超えて受け継がれています。
 本学園は、カトリックの精神に基づく「聖母マリア」を理想とした女子教育を行っています。現在では、幼稚園・中学校・高等学校・大学・大学院を持つ学園として発展し、東京・鹿児島にも姉妹校があります。
 また、純心聖母会は保育園・老人ホーム・原爆ホームを設け、教育と福祉事業に携わっています。

教育方針

 純心中学校・純心女子高等学校は、キリスト教的人生観に基づいて、中高一貫教育を行っています。
 本校の教育は、聖母マリアのように、神様にも人にも喜ばれる清く、賢く、優しい女性の育成を目指します。喜んで奉仕し、平和のために貢献できるように育てます。
 純心教育の基本は、次の3つの柱です。
(1)キリスト教的人間教育を行います。
(2)聖母マリアを理想とする教育を行います。
(3)キリスト教的正義に基づいた平和教育を行います。

(1)キリスト教的人間教育を行います。

 キリスト教的人間観・人生観・世界観を育み大切にする教育です。
 日常の中で聖書を読み、祈りを体験することによって、神の愛といつくしみの素晴らしさを知っていきます。こうして、他人を思いやる心、自分のいのちと同じようにすべてのいのちを大切にすることを学びます。同時に、環境や貧困問題も真剣に考えていくことになります。
 また、聖書に基づいた良心と判断力を養い、他の人と協働できる人を育てます。

(2)聖母マリアを理想とする教育を行います。

 キリストの愛の教えを忠実に生き、神の母に選ばれたマリアを理想とする教育を行います。
 そのため、聖母マリアの徳に倣い、愛徳・純潔・謙遜・従順・柔和をそなえた豊かな教養を持つ人を育てます。この5つの徳は、純心学園の校章にデザインされた音楽の五線の意味になっています。
 また、聖母マリアに倣い、「マリア様 いやなことは 私が 喜んで」を学園標語に掲げています。

(3)キリスト教的正義に基づいた平和教育を行います。

 純心学園は被爆校です。毎朝、世界平和、社会、家庭の平和への願いを込めてロザリオの祈りをささげています。戦争の悲惨さと平和の尊さを語り続け、行動する「平和の使者」となるように育みます。

(4)これら3つの柱を基に、学力の向上、教養の向上、社会で生きていく力を培います。

 個々人が持つ能力・個性・意思を大切にし、自分の良さを生かしながら学習を進めていけるよう取り組みます。そして、個を確立させ、正しい判断力、強い意志、協調性、責任感などを体得していき、社会に貢献できる人間になるように育みます。
 また、国際社会に適応し活躍できるための語学教育、知識や技術、資格の習得に力を入れます。
 さらに、女子教育を重視し、その豊かな特性と与えられている使命を自覚することによって、自立した魅力ある女性への成長を目指します。

マリアさま、いやなことは 私がよろこんで
清く・かしこく・やさしい女性に

 カトリックの精神に基づいた女性としての生き方を、学園の理想とする聖母マリア(清く・かしこく・やさしい女性)に倣い、豊かな人間性を育みます。目まぐるしく変化する世界の中にあっても、ゆるぎないキリスト教的価値観で愛と感謝、そして奉仕する心を深めます。「祈り」と「学び」で織りなされた学校生活も、静かな落ち着いた雰囲気につつまれ、教師と生徒が互いに信頼し合い、授業や学校行事を通して、人としてかけがえのないものを学びます。

確かな学力

 基礎学力の充実をはかり、将来への「学ぶ力」を養い、豊かな知識と人間性を育てます。そのためにも、一人ひとりが自分の能力と適性を最大限に伸ばし、自主的にゆとりを持って学んでいくことができるように「二学期制」を導入しています。また、きめ細かな個人指導をはじめ、長期の休みの希望進路に応じた補習などを通して実力を身につけ、「学んだ力」を発揮します。

教育の特色

豊かな人間性をはぐくむために、「心」の成長を大切にします。

本校はカトリックの女子校です。12歳~18歳という多感で大事な6年間、
学力だけでなく精神面も成長できるよう、純心はさまざまな取り組みを行っています。

心の教育(カトリック精神に基づいて)

  • 聖書を読むことで一日は始まり、お祈りをすることで一日は終わります。「祈り」と「感謝」の中で、一日一日を大切に過ごします。
  • 週1時間「宗教」の時間があります。カトリックのことはもちろん、生き方・命の大切さなどを考え、人として生きていくための「心の成長」を促します。
  • 月訓を毎月かかげています。将来社会で必要な礼儀・作法を自然に身につけることができます。
  • 毎日の掃除を生徒・職員全員で心を込めて行います。伝統の「奉仕」と「感謝」の心を育てます。

一人ひとりを大切に

本校にはスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーがいます。思春期・成長期にさしかかり、悩んだり考えたりするときに、専門家が相談にのり、心のケアを行います。

学びの場

錬成会

心身ともに健全な女性を育てるために創立当初から労作教育を重視し、勤労体験学習として錬成会を長年実施しています。クラスごとに一泊二日の日程で、三ツ山のセミナーハウス(聖ヨゼフの家)に行き、そこで団体生活をしながら基本的な生活及び純心の精神を学びます。また、原爆ホームなどでの奉仕活動や畑での農作業を通して、普段の学校生活・授業とは異なる環境の中で、奉仕の精神や勤労の尊さも学びます。

奉仕活動

初代学園長江角ヤスは原爆により多数の生徒が亡くなったことに心を痛め、生徒たちに代わって残されたご両親の老後をお世話したいと考え、三ツ山に福祉施設を建てました。その思いを受け継ぎ、今もさまざまな奉仕活動が行われています。中学のボランティア部は老人ホームの訪問や清掃奉仕、病院でのお手伝いなどに参加しています。高校のミゼリコルディア部は30年前に発足した伝統あるクラブです。主に、献血の呼びかけ、街頭募金活動、老人ホーム・養育院などの施設訪問などの活動を行い,毎週火曜日には手話学習も実施しています。

平和教育

原爆で大きな被害を受けた歴史を持つ本校にとって「平和」は創立の基本にかかわるものとなっています。 1952年の朝鮮戦争の際、当時の生徒会の呼びかけで始まった世界平和のためのロザリオの祈りは、半世紀を経た今なお続けられています。原爆で子どもを亡くされたご両親が次第に年をとっていかれる姿に、初代学園長江角ヤスは三ツ山に原爆ホームを設立しました。そこは毎年、本校生徒の奉仕活動の場となっています。また、被爆体験をうかがう平和学習も行われ、多くの生徒が深い感銘をうけています。本校生徒が毎年、長崎市の平和式典に参加して「千羽鶴」を歌っており、式典中継の最後を飾る姿としてよく知られています。今もなお、世界各地で戦火が絶えることはありません。これまでも戦火に苦しむ人々や恵まれない人々のもとに、義援金を送るといった自分たちでできることを続けていました。これからも純心の平和学習は、平和への願いを込めた地道な活動を続けていくつもりです。